衛星都市

わたしの住んでいる町は千葉県北西部の典型的なベッドタウン。

早朝の上り電車はいつも満員だ。

ドーナツ化現象で穴の空いた都心への呼び戻しが活発化する中、こちら側もまた活発な都市開発が進んでいる。

わたしの住んでいる町では「奏の杜」というニュータウンがほぼ完成に近づいている。

この新しい町は高層マンション群と低層の戸建て地区、大きな公園、集合農地、複合サービス施設などによって成り立っている。

電線は地中化され、異国のような景観を作り出している。

駅からも近く、快速電車に乗れば東京まで30分とかからない。

この新たな都市の出現で人口は著しく増加した。

しかしどれだけ人がふえてもここはベッドタウン、また明日も都心へ働きに出るために十分な休息を取ることが第一に優先される。

加えて、小さな子供を抱える家族が大多数を占めているため、深夜帯は驚くほど静かだ。

整理された土地、美しくデザインされた街灯や噴水、昼間はこの新しい街に住む子供で賑わう公園、それらすべてがほんとうによく眠っている。

衛星の夜は眠るための夜なのだ。

わたしはそこを歩く。

わたしのためにつくられていない道を、わたしのためにつくられていない街灯に照らされながら。