サンダルと親指の異常

朝、恋人がゴミを出しに行くとき、わたしのビーチサンダルを履いていった。

帰ってくると、「このサンダル、親指のところ痛くない?」といわれた。

わたしはそれまでてっきりわたしの親指に異常があって、サンダルを履くと痛くなるのだと思い込んでいた。

何年も、ずっと。

しかし他人が履いても痛いということは、サンダル自体に異常があることになる。

サンダルよーく見てみると小さな穴があり、そこを掘り返してみると尖った小さなガラス片が入りこんでいた。

このサンダルを自分だけが履いていたらたぶんずっと自分に異常があると思い込んでいただろう。

他人が履いたというそれだけのことで、自分の親指になにか異常があるという疑念はすっかりはがれおち、ガラス片のとりのぞかれたサンダルを履いて外に出かけることができた。