ゆるやかな曲線

うつ状態に陥ると身体に隙間のようなあそびがなくなって全身がこわばる。

そこには大きなよろこびもかなしみも入る隙がない。

大好きな友達が笑わせてくれても、うまく笑えない。‬

‪そんなときにほんとうにすばらしい美術作品を見るとするっと身体に侵入して、だんだんとよろこびをふくらませてくれる。‬

‪そのよろこびがしぼんでいくときもとてもゆっくりで、気づかないうちにいなくなっているので喪失感も感じない。‬

‪自分からなにもかもなくなってしまったような気分のときは、そういった非常にゆるやかな山なりの曲線のように作用するものだけ摂取できる。‬

‪これはよろこびでなくてもかなしみでも、いかりでもいい。‬

‪とにかく揺れることが必要で、それが続けばいずれどこかに隙間がうまれてくる。‬

‪そうすればまた、笑いたいときに笑って泣きたいときに泣けるような自由な状態に解放される。‬

そしてその‪自由な状態は世界を感受する力を高めてくれる。‬

‪それを保っていられるためにできるだけうまく揺られていたいと思う。‬